自宅のバリアフリーリフォームで介護保険が使えるか知りたいとお悩みではありませんか?バリアフリーリフォームをするときは、条件を満たせば介護保険で給付金が受けとれますが、対象工事や支給条件が複雑なため、自分や家族が対象なのかの判断が難しいですよね。そこでこの記事では、介護保険における住宅改修(リフォーム)について、具体例をあげながらわかりやすく解説していきます。申請から支給するまでの流れや注意点も解説しているので、バリアフリーリフォームを考えている人は参考にしてみてください。
リフォームで介護保険が使える条件
さっそくバリアフリーリフォームで介護保険が使える条件を解説していきます。
対象者は要支援や要介護認定を受けている人
バリアフリーリフォームで介護保険から給付金を受けとれるのは、以下の条件を満たしている人です。
・要支援・要介護認定を受けている
・リフォームする家の住所と被保険者証に記載の住所が一致している
・被保険者証に記載の住所に住んでいるまたは住む予定である
介護保険の住宅改修費の給付を受けるときは、要支援もしくは要介護認定を受けている必要があります。そのため、認定前に行ったバリアフリー工事は介護保険の住宅改修費の給付対象にはなりません。また、リフォーム予定の家に住むことが条件となっているので、施設に入居していたり病院に入院したりしている場合も対象外です。ただ、自宅で暮らす見込みがある場合は例外的に認められることがあります。
支給額と利用回数
介護保険の住宅改修費の支給額は、原則としてリフォーム費用の9割にあたる額ですが、所得により7割または8割となることがあります。工事費は20万円までが対象となるので、9割支給の場合は最大で18万円の給付金を受け取ることができます。
【例】
工事費 | 支給額 | ||
9割 | 8割 | 7割 | |
10万円 | 9万円 | 8万円 | 7万円 |
20万円 | 18万円 | 16万円 | 14万円 |
100万円 | 18万円 | 16万円 | 14万円 |
なお、一度に20万円分の工事を行う必要はなく、複数回にわたりリフォーム工事を行っても20万円に達する分まで給付金を受け取れます。また基本的には支給限度基準額は生涯で20万円ですが、以下のいずれかに該当する場合は支給限度基準額がリセットされて、再度20万円まで給付金が受けとれることがあります。
・転居した場合
・要介護状態区分が三段階以上上がったとき
転居した場合で、再度バリアフリーリフォームが必要と認められると再度介護保険の住宅改修が利用できる可能性があります。また、要介護状態区分は以下の6つの段階に分けられていますが、要支援1だった人が要介護3になるなど3段階以上上がることで、支給限度額がリセットされます。
要支援1 | 要支援2/要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
対象となるリフォーム内容
介護保険における住宅改修の対象となるリフォームは以下の通りです。対象となるか否かは、工事そのものの内容というよりは、なぜその工事をする必要があるのかといった理由が重要とされています。なお、新築や増築の場合は支給対象にはなりません。
(1)手すりの設置
転倒防止や移動のしやすさを向上させることを目的として、廊下やトイレ・浴室などに手すりを取り付ける工事です。
【対象】
・転倒防止のために浴室やトイレに新たに手すりを設置する
・身体状況に合わせて既存の手すりの位置を変更する
【対象外】
・老朽化が原因で既存の手すりを交換する
・手すりとして独立していない(紙巻き器やシャワーフックなどが付いている)ものを設置する
(2)段差の解消
玄関や浴室の出入り口など、転倒の危険性があったり移動の妨げになったりする段差を解消する工事です。
【対象】
・工事により固定式の踏み台を設置する
・階段の1段あたりの段差を小さくする
・玄関から道路までの段差や傾斜を解消する
【対象外】
・工事を伴わない持ち運び式の踏み台を設置する
・昇降機やリフトなど動力により段差を解消する機器を設置する
(3)床材の変更
廊下や居室のほか、浴室などの床材を滑りにくいものへと変更したり、車いすが移動しやすい素材に変更したりする工事です。
【対象】
・車いすが移動しやすいように畳からフローリングに変更する
・階段に滑り止め防止の素材設置を取り付ける
【対象外】
・介護用ベッドを置くために畳をフローリングに変更する
・車いすの利用で床が傷んだため新しいものへと変更する
(4)扉の変更
扉の形状を引き戸や折れ戸などに変更する工事です。
【対象】
・車いすで開閉しやすいように開き戸を引き戸に変更する
・握力が低下しても開閉できるようにドアノブをレバーハンドルに変更する
・車いすでも出入りしやすいように間口の大きい扉に変更する
【対象外】
・古くなった引き戸を新しいものに交換する
(5)便器の変更
便器を交換して、車いすや足腰の筋力が低下している人がトイレを使用しやすくするための工事です。
【対象】
・和式便器から洋式便器に変更する
【対象外】
・洋式便器に温水洗浄便座を設置する
・和式便器から温水洗浄便座に変更する際の電気配線工事
(6)上記(1)~(5)の改修に伴って必要になる改修
(1)から(5)の工事を行ううえで必要になる壁補強や水道配管などの工事をさします。
【対象】
・便器の変更に伴う配管工事
・手すりを設置するために下地を補強する
【対象外】
・手すり設置にともない壁全体のクロスを張り替える
・床材交換にともない床暖房を設置する
基本的には、改修自体が生活動作の利便性を向上させたり安全性を高めたりするものが対象となります。また、上記以外にも対象となるものや対象外となるケースもあるので、事前にケアマネジャーや市町村の窓口で相談することをおすすめします。
介護保険における住宅リフォームの流れ
次に、実際に介護保険の住宅改修の支給を受ける際の流れを解説していきます。
要支援や要介護の認定を受ける
介護保険における住宅改修の対象となるためには、要支援・要介護認定を受けなくてはいけません。要支援・要介護認定は、市区町村の窓口で申請できます。申請すると市区町村による訪問調査や、主治医の意見書などをもとに審査され、要支援・要介護の判定が行われます。なお、申請から認定の通知までは原則として30日以内に行われるとされています。
ケアマネジャーなどに相談して必要書類を作成してもらう
要支援・要介護認定を受けたら、さっそく介護認定の住宅改修の手続きを進めていきましょう。まずは、担当のケアマネジャーなどに相談して、住宅改修が必要な理由を記載した書類(理由書)を作成してもらいます。ケアマネジャー以外では市区町村の地域包括支援センターの職員や理学療法士・作業療法士・福祉住環境コーディネーター(2級以上)の有資格者も理由書を作成できます。
施工業者を選択
次に、ケアマネジャーなどに作成してもらった理由書を施工業者に提出し、見積もりの作成を依頼します。ここで、工事施工内訳書・見積書・平面図などを交付してもらわなくてはいけません。
市区町村に申請する
必要書類がそろったら、工事を始める前に市区町村に申請書類を提出します。市区町村や状況によって必要書類は異なりますが、以下の表で★が付いている書類はどの市町村でも必要となる書類です。
必要書類 | 備考 |
★支給申請書 | 市区町村の窓口やホームページで入手 |
★理由書 | ケアマネジャーなどにより作成されたもの |
★見積書 | 施工業者により作成されたもの |
★工事施工内訳書 | |
★改修前の写真・図面など | 写真は撮影日が入っているもの |
受領委任払い同意書 | 受領委任払い(※)を希望する場合 |
委任状 | 申請者が被保険者でない場合 |
住宅所有者の承諾書 | 住宅の所有者が被保険者でない場合 |
※受領委任払いとは
受領委任払いは、支払い時にあらかじめ給付される分を差し引いて自己負担分のみを支払う方式です。介護保険の住宅改修では一旦全額支払ったあとに給付金を支給する償還払いを行っているため、受領委任払いを利用するときは同意書が必要になります。なお、受領委任払いをするときは、市区町村に登録されている業者に工事を依頼しなければならず、市区町村によっては受領委任払いを行っていないところもあります。
市区町村から結果を受け取ったら工事を始める
市区町村から確認結果通知が届いたら、施工業者と契約しリフォーム工事を始めていきます。ここで注意したいのは、必ず結果確認通知が届いてから工事を始めることです。申請したからといって必ずしも給付金の対象となるとは限りません。そのため、工事を始めてから対象外となったことが判明すると全額自己負担で支払わなくてはならなくなります。
工事完了後リフォーム費用の支給申請をする
工事が完了したら領収書を交付してもらいましょう。その後再度市区町村に申請書類を提出します。工事完了後の申請に必要な書類は以下の通りです。
必要書類 | 備考 |
領収書 | 施工業者から交付されたもの |
改修後の写真 | 撮影日が入っているもの |
見積書 | 着工前に提出したものと変更がない場合は不要 |
工事施工内訳書 |
市区町村による確認後リフォーム費用が支給される
施工後に書類を申請すると、市区町村により事前に提出されたものと相違がないかなどの確認が行われ、問題がない場合は、給付金が支給されます。
介護保険を利用してバリアフリーリフォームをする注意点
最後に、介護保険を利用してバリアフリーリフォームをする際の注意点を2つご紹介します。
申請は工事前と工事後の2回行う
介護保険を利用してバリアフリーリフォームをするときは、工事開始前と工事完了後の計2回申請書類を提出しなくてはいけません。つまり、申請前に行った工事は原則として給付金の支給対象外となります。ただし、着工前に申請できないやむを得ない理由がある場合は、例外的に認められる場合があるので、市区町村の担当者に相談してみましょう。
業者選びは慎重に行う
介護リフォームを行うときは、慎重に業者選びを行う必要があります。というのも、介護リフォームは専門知識が必要なため、しっかり施工できる業者は限られているからです。過去には、以下のようなトラブルが報告されています。
・介護保険を使えば無料でリフォームできると言われたが対象ではなかった
・介護保険は適用されたが適当な位置に手すりをつけられて使いものにならなかった
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、業者を選ぶときは以下のポイントをチェックしてみてください。
・介護リフォームの実績が豊富にある
・介護保険の知識がある
・丁寧にヒアリングしてくれる
また、優良業者を探すときは複数の業者から見積もりをとり、費用と対応を比べることが大切です。なかにはケアマネジャーの人から業者を紹介されることもありますが、満足のいく工事をできなかったと後悔する声もあるので、少なくとも2社以上の業者を比較することをおすすめします。
まとめ
この記事では、介護保険とバリアフリーリフォームについて解説しました。満足のいくバリアフリーリフォームをするときは、慎重に業者を選ぶことが大切です。弊社ではさまざまなリフォームを多数行っております。リフォームでお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。